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炎のダンス魂 〜3〜

電話は、親友の中村さんだ。内容は、『今度、結婚するんだ。そこで、お前に式で社交ダンスを踊ってほしい』と。『でも今、パートナーがいないんだよ』『大丈夫だ、オレの結婚相手の友人にダンスの踊れる女性がいるんだ。だから、その子に社交ダンスを教えて、披露宴で踊ってくれ』大変お世話になっている中村さんの頼みなので、引き受けることにした。

相手の女性に会ったのは4日後。東京のあきる野のカラオケ店だった。期待を胸にドアを開けると、中村さんと結婚相手、そしてその親友がいた。親友の第一印象は『とても地味』だった。ディスコや夜の世界の女性ばかり見てきたドニーとは、全く縁のない女性だと思った。

また彼女自身『夜のにおいがしそうな男性とは一切かかわりあいを持ちたくない』様子だった。しかし、中村さんと結婚する女性は『ドニーと親友がパートナーを組んで社交ダンスさらに結婚まで行ってくれたら最強ペアになるのでは』と考えていたそうだ。

確かに、彼女に振り付けを教えると、大学時代、ダンス部にいたというだけあって飲み込みは早い。4回くらい練習して、いざ本番。派手なラテンの衣装が、意外と似合っている。そして約100人の前で、初めての社交ダンスを披露した。

  披露宴後、彼女は『楽しかったから、1度ダンスの大会に出てみたい』と言ってきた。ドニーも『1回くらいだったらいいかも』と思った。自宅に帰って大会の日程を調べてみると、1ヵ月後にあるではないか。

早速彼女に電話をしてみる。『1ヵ月後に大会あるけど、出てみない?』『私、まだなんにも踊れないよ!』『大丈夫!カウントは自分が全部言ってあげるし、何とかするよ。とにかく任せてみない。1回戦は必ず突破するから!』

それから週3回練習を重ねた。大会の種目はサンバとルンバだ。サンバは、結婚式で踊ったので、少し自信がついたようだ。ルンバは、体をくねらせるのに苦労しているが、何となくそれらしく見えて来た。

そして今後のドニー組の将来を占う初戦を迎えた。臨んだのは、ダンスをはじめて2年から10年選手もいる2級戦。80組が出場している。始めて1カ月なんていう選手はいない。さあ、試合開始。背番号は男性が背負っている。ということは、すべての責任は、男性にある。ドニーは彼女に言った。『必ず決勝に連れて行く』と。

彼女の手を握り運命のフロアへ!
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